道具の達人

グラブに使用される革や素材について

2016-4-8

野球のグラブは主に皮革から作られており、プロ野球や高校野球などの競技に用いられるものは天然皮革で作られているグラブが多く、遊戯用、また安価なグラブは、人工、合成皮革で作られているものが多くあります。牛の革が素材としては主なものになり、力の弱い幼児用などには豚が、またグラブの裏側の部分には鹿の革が使われていることがまれにあります。
牛の革といっても、種類によって呼び名が変わり、また品質にも変化が見られます。生後3か月未満の幼い牛のものはキップと呼称され、生後3か月以上のものはステアと呼称されます。一般に硬式用のグラブにおいて、年齢が若いキップのほうが良い品質であるとされており、値段もキップを用いたものの方が高い傾向にあります。キップは質が硬く、若い牛であることからすべすべとした手触りで、キメも細かいために最も優れたものであるとの評価が得られています。しかし、近年ではキップ、ステアに上位、下位の差はないとされる風潮もあり、値段においても、一昔前と比較してそれほどの差異は見られないようになっています。一部では、ステアを用いたグラブの方が軽さを持ち、耐久性もあることから優れたものであるとの意見もあり、使用する人それぞれによって、優劣には変化が見られています。
他の品物と等しく、グラブも値段の良い物は良い品質であるとされ、高校野球や社会人野球、プロ野球においては一般に高級なものが使用される傾向にあります。プロ野球選手の使用するものであれば、オーダーメイドが主となるため、およそ5万円から6万円程度、社会人、高校生のアマチュアでも、使用するものは3万円から4万円程度のグラブが多いとされています。しかし、必ずしも値段の高いものが万人に適したグラブであるとは限らず、革の品質によっては、使用者の満足しないものとなることも少なくはありません。道具を選択する際には値段や名前、メーカーではなく、自身に合ったものを選ぶことが必要であり、それには通販などを利用するよりも、実際に店頭などに赴き、手にはめて、使い心地を確認することが大切になります。初心者であれば、およそ10,000円程度でもプレーには影響のないものも多く販売されているため、値段にこだわる必要は必ずしもないといえます。また、革は経年劣化や激しいプレーなどによって損傷してしまうことがあり、その場合にはプレーに使用がでる場合があるため、メンテナンスを欠かすことなく行い、それでも破損してしまった際には、専門の業者などに依頼して修理をしてもらうことが肝要になります。